栃木の国保 Vol.70 2020.1/ New Year

⒋ フレイル予防は「総合知に よるまちづくり」 日本は2025年を契機として 2200万人超の後期高齢者からなる 超高齢社会を目前にしており、最も有 効性が求められる分野と 「より早 期の段階での予防政策を普及させる社 会基盤」を構築することにある。生活 習慣病、フレイル(虚弱)予防は世界 に先駆けて超高齢社会を迎える日本の 最重要国家戦略の一つとして位置づけ られる。特に、要支援、要介護判定後 の介護予防よりも早期の段階の予防政 策、すなわち「フレイル予防」を普及 させることが大きな課題である。 この健康増進~虚弱予防は日常生活 の延長線上で展開されるべきものであ り、民間企業が創意工夫を凝らして事 業参入ができる分野でもある(※ 【図 1】 フレイル予防は「総合知によるま ちづくり」 ) 。 ⑴複合型フレイル予防プログラム (フレイルチェック)の取組 ①フレイルチェックの自治体で 導入 の意義  東京大学高齢社会総合研究機構の飯 島勝矢教授はこの早期の段階でのフレ イル予防を行うために平成 24年大規模 高齢者虚弱予防研究「栄養とからだの 健康増進調査」(厚労科研)、平成 26 年神奈川県委託調査、平成 27年老人保 健健康増進等事業等の研究により、複 合型フレイル予防プログラム 完成し た。この大規模コホート 研究から 得られたエビデンスに基づき早期のフ レイル兆候を示す評価基準を策定し、 「フレイルチェック(以下FCと記 す)」を完成させた。FC参加者が自 らのフレイルの状態に気づき、「栄養 (食、口腔機能)」、「運動」、「社 会参加」というフレイル予防に関する 重要な要素を学び、三位一体型で取り 組むプログラムである。 FCは、自治体が進めている健康づ くりや介護予防事業の効果を上げる上 での基盤的な取組みであり、FCを通 しての気づきと合わせて、参加した市 民に行政や地域で進めてきた様々な健 康づくりの活動や社会参加のイベント の紹介を行うことでより参加率を高め、 行動変容を促す効果が期待できる。ま た 22の項目からなるFCの結果は、電 子データに変換することで、個人アプ リで簡単に自分の結果 見る がで き、また自治体においては、市区町村 全体或は居住地毎に市民のフレイル度 の比較や統計処理を行うことができる ようになる。 FCの結果は、 個人にとっ ては、将来的な介護のリスクを改善す るプログラムの開発などが期待でき、 行政(保険者)の立場からすると、フ レイル度の進行に伴うフレイルハイリ スク者への適正な介入方法(所謂、介 護予防プラン)の策定、更には介護認 定を受ける際のアセスメント参考資料 として用いることや、また様々な介護 予防政策の効果分析などに活用するこ とで、次年度以降の予防政策等に反映 させることも可能となってくる。 【図 1】 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 16

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