栃木の国保 Vol.70 2020.1/ New Year
ままの形で提供されることで、自治体 は公費を使用しなくてもFCの参加者 が拡大することができ、より多く 市 民のデータを入手することができる。 また企業は本人の了解を得て、適正な 個人情報管理の下、FC 結果を活か して個人毎に商品やサービスが提供で きる(※ 【図3】 民間活力 活用 含 めたフレイル情報システム) 。 こうして産官連携を介して自治体に 収集されたFCの結果は、個人のフレ イルデータの継続的記録により、行動 変容に向けての動機付けや、フレイル 集積データを基に地域、区、市、県レ ベルの横断的比較、地域の将来予測等 に活用ができる様になる。ま 個人に 対しての の記録データ 人工知能(AI) となってくるが、これ 者介護政策、予防政策 推進させることが期待される ⑶まとめ―フレイル予防市場の開 拓に向けて― 冒頭に記した通り、日本は2025 年を機にフレイル予備群の方々が激増 する。市民の虚弱化予防に向けての行 動変容は、 「日常の生活の継続」その ものであり、日々の買い物であったり、 旅行であったり、映画を見に行ったり そういった日常の生活 維持し続ける ことが、むしろ健康維持 フレイル予 防になるのではないかとも考える(※ 【図4】 フレイル予防市場の開拓) 。 FCを自治体と商店街が一緒になっ てやっていこうとしているところも出 てきている。フレイル予防に向けた啓 発を自治体が進め、市民の行動変容に 向けた活動は民間にやってもらいま しょうということであれば、結果的に 公的負担が減り、民間は高齢の顧客の 集客増が図られることで、継続的な売 上増に繋がる可能性が高い。 美容院や トラン、旅行 事業者も一緒にな 協賛して、地域丸ご いまちづくり」に取組む は正しい方向であろう。 地域の社会参加、社会性を保つコ ミュニティ形成に向け 民間の役割は 非常に大きく、今後、フレイル予防事 業の開拓 向けて様々な創意工夫が発 揮される時代がやってくることを期待 したい。 (次号に続く) 神 かみ 谷 や 哲 てつ 朗 ろう 東京大学 高齢社会総合研究機構 特任研究員 岐阜県関市出身。静岡大学理学部修士課程を経て1982 年に花王入社。花王では研究開発部門、マーケッティング 部門でトイレタリー商品開発、化粧品開発を担当。2012 年7月退職し、同年8月から東京大学高齢社会総合研究機構 の特任研究員として従事。東京大学では、元厚生労働事務次官の辻哲夫教授、当 機構の飯島勝矢教授の下で、地域包括ケアのモデル事業の柏プロジェクトに参画 し、高齢者の健康づくり、フレイル予防、生活支援サービス、在宅ケアの在り方、 在宅医療関係の研究と東京大学の産学連携プロジェクトの一つである“ヘルスケ アネットワーク”で高齢社会における産・官・学・民共同研究を担当。 宇都宮市在住。 近著:「地域包括ケアのまちづくりとコンパクトシティに向けての提言」(山口幹 幸編著「コンパクトシティ」を問う(プログレス)) プロフィール 医師 医学博士 東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 飯 いい 島 じま 勝 かつ 矢 や 1990年 東京慈恵会医科大学 卒業、千葉大学医学部附属病院 循環器内科 入局、東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座 助手、 同講師、米国スタンフォード大学医学部研究員を経て、2016年 より現職の東京大学高齢社会総合研究機構教授。 内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員、厚生労働省「高齢者の保健事業と介 護予防の一体的な実施に関する有識者会議」構成員、厚生労働省「全国在宅医療会議」 構成員。専門は老年医学、老年学(ジェロントロジー:総合老年学)。特に、健康長寿 実現に向けた超高齢社会のまちづくり、地域包括ケアシステム構築、フレイル予防研究、 在宅医療介護連携推進と多職種連携教育、大学卒前教育。 近著:「老いることの意味を問い直す 〜フレイルに立ち向かう〜」(クリエイツかもが わ)、「東大が調べてわかった衰えない人の生活習慣」(KADOKAWA)、「健康長 寿 鍵は“フレイル”予防 〜自分でできる3つのツボ〜」(クリエイツかもがわ) プロフィール 【図 4】 【図 3】 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 18
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