栃木の国保 Vol.70 2020.3/ SPRING

しこの高度リスク群の段階においても、 青シール数が1つ増えると要支援・要介 護認定が %減少することが判明した。 また、このフレイルチェックを継続参 加している高齢者市民を追跡してみると、 青シールが多かった参加者はその後も青 シール数を維持し、少なかった参加者は 増加傾向、リピーター市民の %がフレ イルにならないように気を付けるように なった等の意識変容を促すことができ、 科学的根拠をもった一定の成果挙げて きた。 赤シールが多くフレイル状態にある高 齢者に対するアウトリーチ支援は限られ ており、地域により対応が異なってい る。今後、より高齢でフレイル兆候の多 い参加住民(身体的フレイルだけではな く、心理的・社会的フレイルの重複)が 増える可能性もあることから、このFC という市民主体の簡易評価により判明し た「フレイルを有する高齢者」が必要な 医療・介護サービス等に繋げる体制の構 築がまちぐるみの取り組みの中に求めら れている。この「フレイルハイリスク領 域」におては、自らフレイルの状態 対して個人的な努力みでの改善は厳し く、「介入により健常な状態に戻す」こ とで可逆性を目指さければならない領 域である。 総合事業の実施に伴い、要介護・要支 援認定申請に基本チェックリストを活用 する流れが設けられたが、これは二次予 防事業対象者の把握や必要なサービの 利用ができるよう、本人の状況確認する ツールとして有用である。しかし、一 般介護予防事業の枠組みに対して基本 チェックリストの評価項目では、その改 善効果を継続的に把握することは困難で あった。 項目からなるFCは、 チェッ クと深堀チェックの二本立てで構成され、 チェックは本人自身の主観的健康観、 深堀チェックは主に身体機能、能力を測 定する客観的データからなる。柏市での 知見は、新規介護認定者では、赤シール が8枚以上、或は8枚に達していない段 階においても椅子からの片足立ち上が り、滑舌、握力の3つの項目で赤シール があった場合をフレイルハイリスク者と して特定し、早期に発見し適切に介入す ることの重要性を示唆させている。 赤シールが少ない、フレイル低~中リ スク領域においては、ポピュレーション アプローチ領域として、民間事業者や地 域サロンなどの集いの場での健康づくり に向けたグルプワークや啓発活動が活 発に行われ、フレイル高リスク領域にお いては、ハイリスクアロチとして行 政或は民間専門職による個別介入を介し て生活機能の維持・向上を図り、健康な 状態の期間を延伸させていく新しい自治 体事業モデル(フレイル予防を含めた介 護予防政策体系、―可逆性の高い段階か らの戦略的な展開―)の実践が可能と なってきた(図5)。 ⑵フレイルハイリスク者を対象に効果的 なアウトリーチ体制 フレイルハイリスク者を対象にした 様々な自治体の取り組みが東京大学に報 告されてきている。その一例として、 ①地域多職種ケア会議等のグループワー クで、フレイルハリスク者を対象 に匿名化した形で本人に必要な支援 や介入について討議し、その結果を 参考にして地域包括ケアセンターか ら当該の方フィードバックして行 16 72 22 11 11 フレイル予防を含めた介護予防政策体系の確⽴ ー可逆性の⾼い段階からの戦略的な展開ー 介護予防 生活支援 社会参加 介護 1.5次予防 二次予防 要支援 虚弱化の進 行 現在の介護予防・介護政策 総合事業 フレイルリスク保有者への 【ハイリスクアプローチ】 (保険者ごとの個別介入方式の システム化、そして標準化) フレイルチェック参加⼀般住⺠ 介 護 要支援 店舗などに集まる高齢者 ➡より多くの住⺠に参加 サロンに集まる高齢者 ➡年齢、地域等計画的な展開へ ⺠間 自治体 iADL /bADL レベル フレイルチェック 【赤シール増加者】 への個別対応 TypeⅢ 重度化 フレイルハイリスク者 赤シール8枚以上 (特に握⼒×・⽚⾜⽴ち×・滑⾆×) 【ポピュレーションアプローチ】 (市⺠啓発≒一般介護予防) フレイルチェック データ (蓄積・追跡) IADL /ADL レベル 介護(重症化)予 防 ⾒える化 一般介護予防 TypeⅠ TypeⅡ 【図5】 80代で赤シールの割合が8割に達する男性 (外観からもフレイルの兆候が見える) 同じ集いの場に参加する市民 どのくらいのリスクなのか? 【図3】 2017年11月22日 2019年1月9日 82 歳女性(東京都〇〇市) 簡易チェックと総合チェックの推移 【図2】 【図4】 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 15

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