栃木の国保 Vol.70 2020.7/ SUMMER

プロフィール 堀 ほり  博 ひろ はる 晴 氏 特定非営利活動法人 ローカルガバメント・ ネットワーク理事長 1947年生まれ、中央大学法学部卒、東京都入庁。 江戸川区役所を経て小笠原復興事業に従事。その後 本庁に戻り、同和対策、災害対策に携わる。主税局 徴収部機動整理課長、徴収指導室長を最後に都庁を 退職。機動整理課長の時、全国で初めてインター ネット公売を実施し成果を上げる。全国を飛び回り、 1,100以上の地方自治体、一部事務組合などがイ ンターネット公売を利用するまでに成長させた。 1 3 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 13 は延滞金のことを考え滞納者有利という ことで古い滞納分に分納額を当てている ケースが多いと思います。しかし 年以 内で完結しない分納額であれば、滞納額 が増える一方にります。 これでは徴収率は上がらないのではな いでしょうか。そこで現年分の徴収率を 上げている自治体の取り組みを簡単に紹 介いたします。 ① 現年分が発生した時点で滞納者 に対し現年分については納期内 に支払うよう指導します。 ② 指導従わない場合は、財産を 調査して差押を行ます。(分 納事案は差押えをしていない ケースが多い) ③ 指導に従ってくれた滞納者には 今までの分納額より現年分が少 ない場合は残余の分を滞納繰越 分の新しい滞納に充てます。 ④ この場合でも財産調査を行い財 産があれば差押えます。 ⑤ 財産がなけ 滞納繰越分につ いて③の額との見合いで一部執 行停止処分を行う。 このようにしている自治体は現年分を 支払う滞納者が増えることで現年分の徴 収率が上がり、滞納繰越分については 年後に不納欠損とすることで滞納繰越分 の徴収率も上がるこになります。 一部停止についての議論もあるかと思 いますが、これまで放置?した結果一括 では支払えない状態になっている滞納者 が納期内納付をしてくれるようになるこ とが大切なのではないでしょうか。 横浜市などはこの方法を取り入れる ことで徴収率を大幅にアップさせてい ます。 3 法律どおり、約束どおりに 公務員の仕事は多岐にわたっています が、法律どおりに仕事をしないで済んで いる部署は滞納整理部門だけではないで しょうか。法律には、滞納をしたら差押 えろと書いてあります。 しかし「差押える」といくら言っても 差押えなければ法律どおに仕事をして いるとは言えません。滞納者に「また言っ ている」「どうせ差押えなんかしない」 と高をくくられるだけです。 また、分納の約束が不履行になった時、 電話や臨戸をして遅ればせながら支払わ せる。そして次の月も同じことを繰り返 す。こんなやり方をしていませんか。 分納誓約書には不履行の場合、差押え てもよいと書かれているはずです。躊躇 せずに約束どおり差押えをする姿勢が必 要だと思います。 皆さんは公務員で法の番人です。法律 を順守して仕事をしなければいけない立 場にあります。 また、差押えに対しての苦情等につい ては、毅然とした態度で接することが求 められます。 法律どおり、約束どおり差押えること が徴収率を上げる第一歩です。 今、新型コロナウイルスが猛威を振 るっている中で徴収業務は非常に厳しい 状況にあります。捜索・差押えを控えな ければならない状態が続いています。し かし、終息する日がきますので、財産調 査を徹底して行うチャンスとしてとらえ 全滞納者の財産を調べておくのもよいか もしれません。大変な時代の中ですが皆 さんお体に気を付けていただき、徴収率 向上に向けて頑張ってください。(合掌) (次号へ続く)

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3