栃木の国保 Vol.71 2021.3/ SPRING

特定健診の受診率向 上のためには、 適切なメッセージを活 用した適切な タイミングでの個別勧 奨により、受 診行動を起 こす最初の きっかけを 作ることが必要で。 キャンサース キャンで実際に活用し ている手法の 一部として、「コール・リコール」 「受 診確率・反応確率の活用」「メッセー ジ開発」について前号 でご紹介しま した。 今号では、この手法 に関する受診 率向上実績事例に加え 、全国の自治 体のデータ分析の結果 からわかって きたポイントである、 受診の定着化 についてみていきます。 .マーケティング × テクノ ロジーによる受診率向上 前号でご紹 介した手法 を活用し、 特定健診の案内 を送る際に、「人工 特定健診受診率向上対策 《マーケティング テクノロジーの活用》 (全2回) 株式会社キャンサースキャン増永貴和 知能により、受診確率・ 反応確率等 による勧奨優先順位付 けを行い、過 去の健診結果から健診 受診率に影響 を与えてい る要因ごと に対象者を グループに分類し、特 性ごとに違う メッセージで個 別通知を発送す る」 という方法を導入して いただいた自 治体では、平均 で前年比2・8ポイ ントの受診率向上とい う結果が出て います(平成 年度から 年度の法 定報告値より弊 社算出)。一部の手 法のみ導入するよりも 、ご紹介した すべて手法を組み合 わせることで、 より効果がみられると 考えられます。 さらに、どの手法に より重きを置 くかを変えることによ り、結果的に 各自治体が持つ個別的 な課題に対応 し改善につなげること も可能となり ます。 県内での具 体的な事例 としては、 「勧奨効果の高 い不定期受診者 への 2回勧奨」による全体 の受診率向上 や前年度初受診者の受診定着化、「個 別健診実施医療機関の 一覧を勧奨資 材に掲載」による個別 健診の受診率 向上などがありました。前者は「コー ル・リコール」「受診確率 ・反応確 率の活用」を、後者は「 メッセージ 開発」を重視した好事 例といえます。 2.受診定着化にけた対策 こうした取り組みに 加えて、全国 500自治体以上のデ ータを複数年 にわたって分析 した結果、「全体の 受診率」と「特定健診 対象者におけ る3年以上連続受診者 の割合」に相 関がみられ、対象者に おける連続受 診者の割合を増やすこ とが受診率向 上のカギであることが わかりました (図1)。 連続受診者の割合を 増やすために は、その前段階と言え る不定期受診 者の受診を定着させる 必要がありま す。県内事例として述 べた、不定期 受診者への2回勧奨は 、全体受診 1 特別寄稿 × 第 回 2 29 30 + 2.8 pts + 0.6 pt 弊社介入自治体の受診率向上の平均 < 厚生労働省 平成30年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況 42.7%(H29)→43.3%(H30) ※弊社介入自治体を除く 全国の受診率向上の平均 平成30年度 弊社介入の自治体法定報告値 39.4%(H29)→42.2%(H30) 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 12

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3