栃木の国保 Vol.71 2021.9/ AUTUMN

前回ご紹介させていただいたビタ ミンDですが、いかがでしたか? 少しでも魚の摂取を意識していただ けていたらうれしく思います。これ からはサンマが旬の季節にもなりま す。秋の味覚を楽しみながらビタミ ンDも摂取していきまょう。 さて、今回は免疫 力を高めるプロバ イオティクスに ついてご紹介し ます。 .消化・吸収だけじゃない 腸管は、食品などに含まれる水分 や栄養成分を体内に吸収する機能だ けでなく、病原菌や異物から身体を 守る防御機能の役割を担っており 免疫機能の ~ %が集まっていま す。身体は口から肛門まで一本の管 で つながっているため 腸管も外界と接 していることになります。食べ物な ど様々なものが入ってくるため、外 部からの異物をより早く発見できる ように、免疫機能が集まったのでは ないかと考えられています。 2.腸内細菌の働き 腸管には約千種類、100兆個の 腸内細菌(腸内細菌叢(そう)や腸 内フローラとも呼ばれます)が生 息しています。ヒトの腸内細菌に は、善玉菌(ビフィズス菌・ 乳酸菌) と悪玉菌(ウェルシュ菌、大腸菌)、 日和見菌の三つに分けることができ ます。 一般的には、善玉菌が増えると健 康になり、悪玉菌が増えるとアンモ ニアなどの毒性の強い物質が増え病 気や老化の原因にもなります。日和 見菌とは健康な時はおとなしくし ていますが、お腹の調子が悪くなっ たり、体調不良になったりすると 一気に増殖し、悪影響をもら こともあります。善玉菌が多いほ ど健康になりますので、善玉菌を 増やし、腸内環境を整えることが 重要になります。 3. 食事からのアプローチが基本 腸内細菌の善玉菌を増やす方法は 大きく分けて二通りあります。 まず一つ目は、「プロバイオティ クス」の摂取です。プロバイオティ クスとはヒトにとって有益な働きを してくれる菌(乳酸菌やビフィズス 菌など)を含む食品のことを言いま す。ヨーグルトや乳酸菌飲料、チー ズ、納豆、キム チ、お漬物、ピ クルス、 味噌などいわゆる発酵食品のことで、 善玉菌は生きて腸管に到達しないと 意味がないわけではなく、死菌でも 善玉菌の餌となり、有益効果を得 ることができます。 ただし、善玉菌は体内に定着しに くく短期間の摂取は免疫力向上の 効果は出にくいと言われているため 毎日続けて摂取し、善玉菌を補充す る必要があります。 二つ目は、腸管にもともと存在す る善玉菌を増やす作用のある「プレ バイオティクス」を摂取することで す。プレバイオティクスとはオリゴ 糖や食物繊維など善玉菌の餌なる ものが含まれている食品のことを言 います。オリゴ糖や食物繊維は野菜、 果物類、豆類、海藻類、キノコ類な どに多く含まれており、消化・吸収 されることなく、腸管に達し、善玉 免疫力向上のための栄養戦略 宇都宮文星短期大学専任講師 大津 智仁 1 50 60 特別寄稿 第 回 2 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 18

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