栃木の国保 Vol.72 2022.1/ NEW YEAR

3回目になりましたが、皆さんの 食生活の改善に取り入れていただけ ていますか?これからが冬本番で寒 くなり、くしゃみや鼻水、鼻づまり に始まる風邪をこじらせてしまうと 肺炎や気管支炎を引き起こす可能性 もあります。 そして、風邪をひいているときは エネルギーを消耗しやすく食欲の低 下によりエネルギーや各栄養素が不 足し、抵抗力や免疫力が低下しやす くなります。免疫力を高めるために もこれまで紹介したポイントを積極 的に取り入れていただきたいです。 今回はビタミン C とビタミンAに ついて紹介します。 . 感染症の予防や強い抗酸化力 ビタミンAは皮膚やのど、鼻、肺、 消化管などの粘膜を正常 に保つ働きや、 免疫細胞の成熟と機能に 重要で感染症 を予防し免疫力を高める ことに役立ち ます。細菌やウイルスは 粘膜を通過し、 体内へ侵入してきますの で、膜を正 常に機能させておくこと は免疫機能と してとても重要です。 ビタミンAが不足してしまうと 皮膚や呼吸器の粘膜が弱くなり、感 染症にかかるリスクが高くなるだ けでなく、ワクチン接種の効果が 低下する可能性があるという研究 報告もあります。ビタミンAは動 物性食品のレバー類やあなご等に 多く含まれ、体内で直接利用する ことが出来すが、人参やかぼちゃ などの緑黄色野菜やかんきつ類の みかんにはβカロテンというビタ ミンAの前駆体の形で存在し、必 要に応じて体内でビタミンAに変 換されて利用されます。 2. 過剰症にも注意 ビタミンAは脂溶性のため摂りすぎ ると体内に蓄積し、嘔吐や頭痛などの 原因にもなります。先述したようにレ バーなどの動物性食品からビタミンA を毎日大量に摂取した場合は過剰症の リスクが高くなりますが、緑黄色野菜 のβカロテンとして摂取した場合は過 剰症心配はありません。積極的に緑 黄色野菜やみかんなどの果物を食べて 粘膜の正常化に努めましょう。 また、野菜のお手軽な摂取手段とし て様々な野菜ジュース が販売されて いますが、βカロテンを摂る目的であ れば人参ベースのオレ ンジ色の野菜 ジュースがおススメになります。 3. 美肌効果や抗酸化だ けじゃない ビタミンCは皮膚や腱、軟骨など の結合組織を構成するコラーゲン合 成の関与成分としての働きと強い抗 酸化力によって動脈硬化や脳血管疾 患、心筋梗塞を予防する働き、免 疫機能にも大きく係わっています。 ビタミンCは体内に侵入したウイル スや細菌と戦う白血球やリンパ球に 多く含まれています。ビタミンCを 摂取することで免疫機能が強化され、 病気への抵抗力が高まる可性があ ります。 また、白血球がウイルスや細菌と 戦う際に発生る活性酸素は過剰に 発生すると正常な細胞まで攻撃して しまいまが、ビタミンCの抗酸化 作用が活性酸素の働きを抑制します。 ビタミンCはストレスにさらされる ことで急速に消費されます。喫煙、 不安、疲労、暑さ、寒さ、多量飲酒、 睡眠足などにより体内でのビタミ ンCの消費量は高まります。予防の 免疫力向上のための栄養戦略 宇都宮文星短期大学専任講師 大津 智仁 1 特別寄稿 第 回 3 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 20

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