栃木の国保 Vol.72 2022.3/ SPRING

4 回目、最終回の寄稿になります。 ビタミンD、プロバイオティクス、 ビタミンCビタミンAと免疫力 向上 に必要な栄養戦略についてご紹 介し てきました。少しでも皆さんの 食事 に対しての意識改善や健康に寄 与で きれば幸いです。 今回はオメガ3脂肪酸について 紹 介したいと思います。 . 油脂とは あぶらには、サラダ油やオリーブ オイルなど、主に植物性の食品に多 く、融点が低く常温でも液体の油 ( o i l )と、牛脂や豚脂など、主 に動物性の食品に多く、融点が高く 常温では固体脂( f a t )に分け ることがきます。これらを合わせ て油脂といいます。 また、「栄養学」の領域では、中 性脂肪、リン脂質、コレステロール などを総称して脂質と言ったりし ます。 脂質(油脂)は三大栄養素の一つ であり、炭水化物やたんぱく質の 2倍以上の1gあたり9 ㎉ のエネル ギーを持っていることや体内では、 細胞膜の構成成分やエストロゲン などのホルモンの材料としての働 きもあります。 その主要供給源は食用油脂です。 食用油脂を構成する脂肪酸の多く は炭素鎖が 以上の長鎖脂肪酸で すが、そのうちオメガ3脂肪酸オメ ガ6脂肪酸は生体が作り出すこと のできない必須脂肪酸で、食事から 摂取する必要あります。 健康のためには低脂肪であぶら は極力減らし た方が良いイ メー ジがある方もいらっしゃいますが、 「質」の良いあぶらを摂取すること が健康維持には重要であるといわ れています。 2.摂りすぎると動脈硬化に 肉類や乳・乳製品に多く含まれて いる脂肪酸は、中性脂肪やコレステ ロールなどの上昇に関与し、脂質異 常症や動脈硬化との関連が非常に 高いです。 また、植物油などに水素を添加し て作られたマーガリンやショート ニングなどの原料となるトランス 型脂肪酸は、過剰摂取が続くとHD Lコレステロール(善玉コレステ ロール)が減り、LDLコレステ ロール(悪玉コレステロール)が増 え、動脈硬化や心疾患のリスクを高 めるなどの安全性が問題視されて います。 欧米と比べ摂取量は低いですが、 脂質の多い食事や洋菓子類、菓子パ ン類を日常的にたくさん食べてい る人はトランス型脂肪酸を多く摂 取している可能性があります。 3.必須脂肪酸 必須脂肪酸には肉類やバター、揚 げ物などに多く含まれているオメ ガ6脂肪酸と、植物油や魚油に多く 含まれているオメガ3脂肪酸があ ります。どちらも体内で作り出すこ とのできない必須脂肪酸で、生理活 性の働きがあります。オメガ6脂肪 酸は血小板凝集、子宮収縮など炎症 促進的に働きますがオメガ3脂肪 酸は炎症抑制的に働き したがって、これらのバランスが 崩れると、高血圧、動脈硬化、心疾 患を発症する可能性が高くなりま 免疫力向上のための栄養戦略 宇都宮文星短期大学専任講師 大津 智仁 1 16 特別寄稿 第 回 4 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 18

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