栃木の国保 Vol.72 2022.3／ SPRING

プロフィール 大 おお　つ 津 智 とも　ひと 仁 宇都宮文星短期大学専任講師 管理栄養士・日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士・健康運動指導 士。宇都宮文星短期大学専任講師。栃木県医科学センター協力栄養 士。アスリート、保護者、指導者向けに栄養講習会を行う。 4 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 19 す。オメガ６脂肪酸とオメガ３脂肪 酸の摂取量の比は４：１が望まし いです。 ．質の良いあぶら「オメガ３ 脂肪酸」 オメガ３脂肪酸は、亜麻仁油やエ ゴマ油などに含まれるα‐リノレ ン酸、グロやサバ、イワシ、ブ リ、鮭などの魚の油に多く含まれて いるドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ） とエイコサペンタエン酸（ＥＰＡ） があります。心疾患やアレルギーな どの炎症に対しての抑制作用があ り、そしてこの働きが免疫力向上の 可能性があるのではないかと注目 されています。 オメガ３脂肪酸は、抗原提示細 胞、Ｔ細胞、Ｂ細胞の機能に影響を 与えることやインフルエンザウイ ルスの複製を阻害するという抗ウ イルス作用をもっているとも言わ れています。 ５．上手なとりかた 質の良いあぶらだからと言って 摂りすぎては意味がありません。質 の良いあぶらもほかのあぶらと同 じ１ｇあたり９ ㎉ のエネルギーを 持っていますので、いくら健康に良 いからとオリーブオイルを大量に 使った料理を日常的に食べている とエネルギーの過剰摂取により肥 満や免疫力低下の原因にもなって しまいます。 摂りすぎると健康上問題を招く 動物性のあぶらやトランス型脂肪 酸の摂取を控え、オメガ３脂肪酸を 積極的に摂ることがポイントです。 調理の際は植物油を使い、１日１食 は魚料理を食べることが望しく、 こうした食事で摂取比率に近づき ます。外食をした際には焼き魚定食 や煮魚定食を選ぶのもいいですね。 また、最近は様々な機能性のド レッシングも販売されています。オ メガ３脂肪酸入りのドレッシング や亜麻仁油、エゴマ油のフレッシュ ボトルもあります。 ただし、オメガ３脂肪酸は加熱す ると酸化しやすいので、サラダのド レッシングやヨーグルトやスープ にかけるなど、できるだけ生で摂る ことが大切です。 さらに、酸化・劣化しやすいため、 すぐに食べることや早めに使い切 ることが良いでしょう。 ６． 魚を食べると頭がよくなる？ 魚を食べると頭がよくなるとい うフレーズを耳にすることがあり ます。これは魚に多く含まれるＤＨ Ａが脳の神経や情報伝達に深くか かわっており、とくに乳幼児期の脳 の発育発達には重要と言われてい ます。 決して、魚をたくさん食べること で頭がよくなる、秀才に育つという わけではありません。 ７．心の栄養も忘れずに 食べるという字は人を良くする と書きます。体や健康に良いものを 積極的に食べることも大切ですが、 好きなお菓子や嗜好品も適度に食 べることで心の栄養になります。 自分の生活に合った方法で楽し く美味しく続けてください。