栃木の国保 Vol.73 2023.1/NEW YEAR

3回目の「栃木の国保」 の寄稿に なります。今回は、来年2023 年1月開始予定の電子処方箋につ いて記載しようと思います。執筆 時の情報のため、開始が遅延る 可能性もありますが、この寄稿 2023年1月掲予定ですので、 タイムリーな話題として記載しま す。 完全に電子化されるのはまだま だ先の未来であると思 いますが、 電子処方箋を使用する事により、 ①電子化による紙が不要になるメ リット ②処方内容を電子化することによ るメリット ③電子化した処方情報などを共有 することによるメリット 等が考えられます。 ①については、偽造などの防止、 印刷がなくなることによるCO 2 の減少、遠隔診療時の処方箋の受 け渡しの利便化、薬局での調剤済 み処方箋の保管スペースなど減 少、紙自体を受け渡ししないこと による新型コロナウイルス感染症 などの感染リスク低減などが考え られます。新型コロナウイルス感 染症によって、電子処方箋に対す る考え方も一気に進ん だと私は 思っております。 ②については、今まで処方箋を 出すときは、医療機関でカルテな どに電子的に入力し、紙に印刷し、 保険薬局で再度電子的に入力して いたため、二度手間の部分もあり ました(データ化→印刷→データ 化)。それによる処方入力の間違 いや、保険者番号の間違いなども 発生してい が、電子処方箋 になることにより、医療機関で入 力したデータを取り込め、入力な どの労務が軽減されることが想定 されます。もしかすると、待ち時 間の短縮なども起きるかもしれま せん。 最後の③については、医療機関 ・ 保険薬局の情報共有が進み、患者 にとってより適切な薬学的管理が 可能になります。例えば、疑義照 会による記録を残したり、先発医 薬品・後発医薬品の何を調剤した のかが分かります。クリニック側 でカルテを開いたときに、保険薬 局側からの伝達事項を表示するこ ともできます。また、複数の医療 機関・複数の保険薬局の情報共有 も進むため、重複投薬の防止など が進む予定です。さらに、前回記 載のマイナンバーカードのPHR (パーソナルヘルスレコード(個 人の健康情報) ) 領域データを使 うことによって、自宅で測定した 毎日の血圧なども把握することが でき、より充実した対応が可能と なります。(図1) マイナンバーカードについて 電子処方箋でのメリットを最大 限得ようとした場合、マイナンバー カードが必要になります。というの も、医療機関、保険薬局も患者がマ イナンバーカードを持参しない時は、 レセプトや健康診断情報などを細か く見ることができません。電子処方 箋自体は、患者の被保険者証で資格 確認ができ るため 、医療機関は、ア クセスコードを 審査支払機関 の電子 処方箋管理サービスに 送ります。そ の結果、 電子処方箋を発行できます。 保険薬局は、アクセスコードと被保 険者証により、電子処方箋を 受信 す ることができます。なお、紙の処方 箋を受け付けたときも調剤結果等 は電子処方箋管理サービスに送信す ることになっており、電子処方箋の 進捗が遅くなっても、電子化した調 剤データは蓄積されていくことにな ります。 適正な服薬管理の推進とDX化 〜電子処方箋とDX化〜 ピノキオ薬局代表取締役田中友和 特別寄稿 第 回 3 栃木県国民健康保険団体連合会「栃木の国保」 21

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